Kenzaの日記

日々の出来事やイベントの感想など、好き勝手に書きます

佐伯沙弥香という少女についての感情①

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この記事には以下のネタバレを大いに含みます。

やがて君になる 原作1~8巻

やがて君になる 佐伯沙弥香について 1~3巻

やがて君になる アニメ

上記の作品を履修していない方は今すぐブラウザバックして履修を開始してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

 

めちゃめちゃ久しぶりにはてなブログにアクセスしてこれ書いてます。

2020年10月29日~11月8日にかけて上演された、朗読劇「やがて君になる 佐伯沙弥香について」の初回と千秋楽に参加してきました。その結果あらゆる感情をぼこぼこにされてしまったのでこの記事書き始めました。

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こんなに素晴らしい代替公演があっていいんでしょうか

周りにもやが君を履修し終えてくれた同士が着々と増えてきたので気軽に読んでほしいです。

ちなみにイベレポではなく、ただ単に佐伯沙弥香というキャラについて思うことをつらつら並べていく感じです。たぶん。

小説も含めて原作履修し終えてる前提で書いてるのであしからず。

 

 

 

キャラクターとしての立ち位置

 

 

 

多くのオタクが佐伯沙弥香に心を狂わされています。僕もその一人です。

 

何故か、と考えると、作品内での沙弥香というキャラクターの立ち位置でしょう。彼女はやが君のメインキャラの中でも特に感情移入しやすい人物像をしていると思います。もっと踏み込むと、(決してそんなことはないのだが)読者・観測者に近い視点を持っているとも言えるかもしれません。

 

読者からして、侑や燈子の感情を理解することはできても、そこに自分の感情を持っていくことは難しいのではないでしょうか。「好きを知らない」と「好きが怖い」2人に思いを巡らせることはできても、"自分のもの"にするのは中々に困難です。(それが作品の深みを生み出している節も大いにありますが)

 

対して沙弥香は、小学生の頃から女の子に対する感情の抱き方が少し変わり、中学校で柚木先輩と出会って「女の子しか好きになれない」少女になり、そんな中で高校で燈子に一目惚れをする、という(変な言い方ですが)"理解しやすい"人物です。

 

加えて沙弥香は侑と燈子の物語の語り部の一人でもあります。この「役割」は小説2巻でさらに強まったと思いますが、原作でもそのような描写は多くあります。これは、侑と燈子のお互いに抱く感情、距離感、関係性がめまぐるしく変わっていくのに対して、燈子と沙弥香、侑と沙弥香の関係はそれほど大きくは変わらないことに由来するものでしょう。

 

恋が実らなくとも燈子は最高の友人だし(気まずさは残っているが)、構造だけで見れば「恋敵」にあたった侑とは彼女を真っ先に紹介するほど関係が良好です。

沙弥香を通してやが君の世界を見ると、視点がぶれないんですよね。

 

初めて燈子と出会ったときから生まれた思いが時間とともに募っていき、それが実ることはなかったが確かに届いた。侑と燈子の物語に比べて、そこにある感情は私たちが手に取りやすいものになっているはずです。

 

だからこそ彼女の抱く感情には重みがあり、それは私たちに痛いほど鮮明にのしかかってくるのです。

 

余談ですが、前提として僕は三角関係においていわゆる「余ってしまう」キャラクターに心惹かれる傾向があります。

 上のツイートで言うとCにあたります。

ストロベリーパニックでも夜々ちゃんが一番好きです。

 

 

 

沙弥香は本当に「何もしなかった」のか?

 

 

 

さて、そんな沙弥香ですが、作中で自虐的に「私は何もしなかった」という趣旨の言葉を吐くことが多いです。

しかし本当にそうか?僕の答えはノーです。

 

確かに、結果だけを見たら、沙弥香は燈子に1年先に出会っていたのに、関係を壊すことを恐れて踏み込まず、「その時」をただ待っていたら既に燈子は侑と歩みを進めてしまった、ということになるでしょう。

 

でも、もしも侑と燈子が出会う前に沙弥香が思いを伝えていたら?侑が舞台を通じて燈子に伝えたメッセージを、他の形で沙弥香が伝えていたら?

 

おそらく、何も解決はしなかったでしょう。燈子が「好き」を縛る言葉だと思っているうちは沙弥香の思いが届くことはないし、燈子を「呪い」から解放できるのは、燈子を好きにならず燈子のそばにいる存在、つまり侑だけです。

 

沙弥香が入学式の日に燈子に一目惚れをした時点で、沙弥香が燈子を変えられる未来はなくなった、とも言えます。残酷な言い方をするなら、出会った時点で既に結ばれないことが決まっていたのです。

 

沙弥香が燈子に思いを告げようと思えたのも、その思いが実ることはなくとも確かに燈子に届いたのも、侑が燈子を変えられたからです。

 

燈子が侑と出会う前は、沙弥香は「特別じゃない大勢の中での一番」であり、燈子が侑に救われた後は「特別の中での二番目」です。何というか、残酷としか言いようがないですよ。誰も悪くないのに。

 

これを踏まえると、生徒会劇で沙弥香に「私だけが あなたの特別でいられたのに」というセリフを言わせることの惨たらしさがむき出しになってきます。だって、沙弥香だけが燈子の特別でいられたことは一度もないから。

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朗読劇でこのセリフ出てきたときは「殺してくれ」ってなりました

聡明で優しい彼女だからこそ、こういう結末になってしまったのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

ひとまず今日はここまで。気力が戻ったら②を書くかもしれません。